幼稚園の先生ってすごい
息子の通う幼稚園は私がかつて通った幼稚園だ。創立者で私が生徒だった当時の園長先生のしっかりとした教育理念を今も受け継いでいる。父親参観やイベント、ボランティアで教えている英会話の時間などちょくちょく園に顔を出す機会のある夫は毎回園をベタ褒めで
「日本で子供を育てる事ができてよかった」
と言う。インターンシップでアメリカの教育機関を幼稚園から高校まで一通り見ている私も同感だ。
実は私、幼稚園の時は相当な問題児だった。毎朝泣き叫んで母から離れたがらず、プログラムに参加する事なくひとり勝手に園庭で遊んだ挙句に滑り台の下の水たまりにお尻から着地してパンツを借りるわ、脱走の常習犯であったが故にトイレに行こうとしても先生に信じて貰えず腕を捕まえられたままおもらしをしてしまうわ、挙げ句の果てには脱走に成功してひとりで1キロ以上歩いて家まで帰ってきてしまった事もあった。
そんな私を社会性のある人間らしい子供へと導いてくれたのは大好きなY先生だった。先生は問題児の私を叱る事なくいつも笑顔で可愛がってくれて、みんなで並んで帰宅する帰り道もいつも手を繋いで歩いてくれた。先生の
「メグミっていい名前だね」
という言葉が私のハートを鷲掴みにしたのを今でも覚えている。母親に
「先生と同じ水着を買って!」
とおねだりした程先生が大好きだった。
自分の経験を通して幼児教育と指導者の大切さがわかるので、あの当時と同じ理念を掲げている幼稚園には安心して息子を預ける事ができる。そして今、大人になり社会人としていくつかの職を経たり海外の教育現場も経験し、親という立場になったからこそ見えてくる園の先生方の凄さがある。
まず、先生方は皆生徒の名前を、自分のクラスだけでなく全員把握してくれている。私立の幼稚園で姉妹園が近くにあるのだが、そちらの先生もこちらの先生も全員が両園の全生徒を覚えてくれている。それに加えて父母の顔から孫育に携わるおじいちゃんおばあちゃんまで覚えている。弟や妹の園の行事に顔を出す卒園生にも
「xxxちゃん元気?」
なんてパッと名前が出てくる。園の方針なのだろうけれど、人の名前や顔を覚えるのがとても苦手な私はいつもとても感心してしまう。先生たちが私より随分若くて脳ミソも若いとはいえ、凄過ぎる。
そして、情報のシェアがハンパない。一体いつどうやってしているのか?あれを全社員できている企業があれば超優良企業になれる事は間違いない。アメリカ渡航中に夫の家族で不幸があり、帰国日が遅れた事があった。息子も園を休むことになり、帰国後登園すると教室に着くまでの間に顔をあわせた先生全員が
「大変でしたね」
と言葉をかけてくださった。私のような気が利かなくて忘れっぽい人間なら1日でクビになるだろうなぁ。
もっとも不思議かつ驚きの事実は、あんなに園児と至近距離での生活をしていながらインフルエンザ・ウィルスが蔓延して学級閉鎖になる時期でも休む先生がひとりもいないということだ。マスクだってしていないのに。咳や鼻水出まくりの園児たちから
「せんせー!」
とベタベタ触られたりしているのに、だ。その秘密を知りたくて何回か聞いてみたけれど
「ねぇー、なんだか大丈夫なんですよぉ」
と、とびっきりの笑顔が返ってくるのみ。毎年鍛え上げられて強靭な免疫力がついているに違いない。
将来を担っていく子供たちが最初に通う教育の場。幼稚園の先生というのは子供たちに大きな影響を与えるとても重要な仕事だ。私が息子一人に手を焼いているのに、20人のクラスをまとめて面倒見て、その上イベントの準備も一生懸命で抜かりがない。え?うちの子、いつの間にかこんな事できるようになってたんだ?!なんて驚かせてくれる。愛情を持って子供達に接してくれる先生たちは世の中になくてはならない存在。もっと世間からリスペクトを受けるべき人々だといつも思う。
てぃ先生、いつかお会いして教育の事を色々お聞きしてみたいです!☟