Japanese guys are cool

かつて働いていたニューヨークのレコード会社は地球をギュギュっと小さくしたような感じで、アメリカ人スタッフ以外にも様々な国出身の従業員が働いていた。自由な社風と皆の個性でそれは楽しい職場だった。

ある日、アメリカ人従業員のクリスとオフィスのキッチンで立ち話をしていた時のこと。笑いながら最近地元であったことを話してくれた。彼は若い黒人の男の子でハーレムに住んでいたが、当時はハーレムも治安がそう悪くはなくなってきていて日本人の住人も増えていた。
「通りを歩いていたら向こうから日本人の男の子がふたりこっちに歩いてきたんだ。ファッションがすごくイカしてたもんだから ”Hey men.” って話しかけてみたんだよ。そうしたら、それまで堂々と歩いてたのに急に緊張して何を言っても小さな声で ”Yes, yes.” って。ギャップが笑えちゃったよ。」

どうやらカッコよくキメて地元の黒人さながらに道を歩いていたそのふたりは英語が苦手だったようだ。まさに地元のイカした若者代表のようなクリスから話しかけられてビビってコチコチになってしまったんだろう。コミュニケーションのセンスがファッションのセンスに追いつかなかったのね(笑)。その様子が目に浮かんで苦笑してしまった。しかし笑いながらもクリスは
「日本人ってホントクールなファッションセンスなんだよ」
と街で見かける日本人のファッションを本気で褒めていた。

ちなみにこのクリス、ハイチュウキャンディーが大好きで、時々街角のデリで買ってきたりしていた。(ニューヨークには韓国系のデリが多くあってそこでは大抵ハイチュウが置いてある。)ハイチュウはみんな大好きで日本に帰国したらお土産に買って帰るアイテムのひとつだった。デリだと日本で買う倍以上の金額だったしあげると喜ばれた。

それ以外に日本からのお土産といえば、同僚たちには大抵お菓子を買っていた。アメリカにはないけれど、ノンジャパニーズでも気にいるものってなんだ?と毎回考えながら選ぶのが楽しかった。ある時、あられやポリポリ小魚が入っているおつまみを選んだ事があった。小袋がたくさん入っているパックを買って行って帰国後オフィスで配って回ると殆どが珍しいオヤツにとても喜んでくれた。殆ど、というのは先程のクリスと数人が入っている小魚に
「うわっ!」
という反応をしたからだ。
「Thanks!でもボク魚食べないんだよー。ってかコレ目玉もついてるし!」
日常の食材として小魚に慣れている日本人の私には盲点かつ新発見だった。そういえばあられを巻いていある海苔も食べない人がいるよね。それからはこのおつまみはお土産には買わなくなった。やっぱり万人ウケするのはハイチューとかチョコレートみたいなものかな。最近だと緑茶の入ったスイーツなんかも喜ばれる。

ハーレムの Japanese guys の話からハイチュウやらお土産と話は飛び飛びになってしまったけれど、日本の文化や食べ物に関してはよくお褒めの言葉を頂戴したものだった。今では寿司に続いてラーメンも大人気だ。その反面、ネイティブではない人々には到底理解できない部分もまだまだたくさんあるようで何となく不思議の国ジャパンというイメージもあるらしい。会社では唯一の日本人(アジア人)だった私もちょっと不思議だと思われたりなんかしていたんだろうか。


アメリカ土産にはとても喜ばれます(日本人にも嬉しがられますね)☺︎☟

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