US Trips 2017-2018 狂気の連続旅行 その9
夫と義母はいつも
「うちは大家族だ」
と言う。ちょっと声をかけて数十人、ちゃんと集まったら数百人、と。確かに今までに私が会った親戚をざっくり数えても30~40人はいる。義母は8人兄妹の末っ子、皆子供が多くいちばん上からいちばん下までの年齢差が大きいので夫は同じくらいの年の人から「叔父さん」と呼ばれていたりする。移民の家族は助け合って生きてきたこともあって繋がりが強い。私も多くのいとこと遊んで育ったし家族はかけがえのないものなので抵抗感は全くないけれど、誰と誰がどういう関係なのかを覚えるまでにはまだまだ時間がかかりそうだ。
今回の旅ではちょうどイースターを義母と親戚の一部がいるダラスで過ごす事になったので集まってお祝いしようということになった。夫と私はハワイで小さな結婚式とパーティーをしただけだったので、やっと親戚に私を紹介できると意気込む義母。緊張するなぁ。いとこの経営するレストランを貸切りにするそうだ。何人来るのか義母に聞いてみると
“I have no idea.(見当もつかないわ。)”
という返事。結果から言うと集まったのは180人。これが「ダラスエリアだけに住む親戚のごく一部」。ケイジャンフードのレストランで、定番のクロウフィッシュ(ザリガニ)をひたすらパキパキ殻を剥いて食べる。後で聞くには用意されたクロウフィッシュは180キロを超えたそうだ。パキパキの合間を縫って義母が親戚を紹介してくれた。
「○番目のいとこでね...」
御母様、申し訳ありませんが多すぎて覚えられません!とりあえずスマイル。お陰で
「あんな嫁もらって!」
という声はあがらなかった模様だ。ほっ。
実は今回の滞在中に不幸があり、旅の最後にニューオーリンズでの葬式に出ることになった。ここでは残りの親戚も集まるので400人程にはなるという。ダラス、オクラホマに加えてニューオーリンズにも多数の親戚がいるので以前訪問したことがあったけれど、今回は(残念ながらお葬式という理由ではあったが)殆どの親戚に会うことができた。紹介してもらった全員覚えられたか?答えはノーだ。夫でさえ義母に
「誰だっけ?」
と聞いているくらい。10年以上会えていなかったいとこやおじさん・おばさんも多かったそうだ。今回会った夫のいとこ(だったかな)のひとりが以前から Family Tree(家系図)を作ろうとしているという話を聞いた。夫は来る前から
「全員の写真を撮って Family Tree を作るぞ!」
と意気込んでいたので、彼女と
「協力するから一緒にやろう」
ということになった。実際は400人近い人々の写真を全部撮るなんぞ到底無理な話だったが、仲間ができてよかったよかった。
葬式の後、教会の隣の建物で昼食をとった。人数が多いので入替制だ。その後近くの親戚の所に挨拶をしてからまた別の親戚の家で最後の「ごく近い」身内の集まりに行った。どちらも軽く30人は集まっていた。さすがニューオーリンズ、集まればクロウフィッシュ。家の裏庭やガレージで大量のクロウフィッシュを給食センターのような大きなお鍋で茹でる。ケイジャンスパイスで茹でたコーンやポテトも一緒に頂くと辛いのが苦手な私は口がヒリヒリして汗が流れてくる。けれどもやめられなくてパキパキととまらない。久々にクロウフィッシュにありつけたと夫は延々と食べ続け、お皿にてんこ盛りになった殻を何度捨てたことか。
余談だが、ニューオーリンズ一泊目の明け方に携帯からけたたましい音がしたと思ったら Tornado Warning(竜巻警報)だった。5:50-6:05の間に竜巻が来る可能性があるからシェルターに逃げろと。夫も私もオロオロしたが、家主である夫のいとことその家族は起きて来る気配すらない。後ほど聞いてみると、
「(注意報は)よくあることだけど大丈夫だよ」
だそうだ。シェルターは?
「ないよ」
...そうですか。ただし、学校ではしっかりと Tornado Drill(避難訓練)があるとのこと。(最近ではテロや銃撃に対する避難訓練もあるそうだ。恐ろしい。)
さて、長かった26日間の旅もおしまいだ。たくさんの旧友、ホストファミリーや夫の家族に再開できたいい旅だった。初めて会った夫の親戚も優しく迎えてくれて、今度は日本に行ってみたいと言ってくれた。夫よ、早く Family Tree を作っておくれ。
ニューオーリンズといえばサッチモ(ルイ・アームストロング)!空港の銅像とも記念撮影してきました。