US Trips 2017-2018 狂気の連続旅行 その8
もうダラス滞在もおしまいという頃、息子がベッドから落ちた。幸い何ともなかったが、大人の腰近くも高さがあって子供はよじ登る感じなので日本のベッドと比べると相当高い。いつもは夫と私が両端で息子を挟んで寝て、大人が起きたら枕で壁を作っていた。慎重にしていただけにドサッ!という音が聞こえた時は心臓が飛び出しそうだった。びっくりして泣きじゃくる息子にオロオロと頭や腕を調べる夫と私。
実をいうと過去にも同じような落下事件があった。もっと高さのある親戚のベッドで、だ。子供部屋のベッドを貸してくれていたのだから普段は子供が寝ているはず。大人でもよじ登る感じのベッドで、最初部屋に入った時に「えぇぇ?」と思ったのを覚えている。お年寄りだったらもう登れなそうなくらい高い。怖いので枕で壁を作っておいたけれど子供は眠っている間よく動くのでその日も乗り越えてしまったらしい。念のためとベッド下にもクッションを置いておいて大正解だった。
ネットで調べると、ベッドからの落下はやはり怪我の原因でも上位に入り、死に至るケースもあるという。それなのにどうして低くしないのか?一言でいうと見た目がいい、というのがどうやら理由らしいがいくら見た目が良くても命には変えられない。次回からは床にでも寝かすか、という話になった。
さて、アメリカには Chuck E Cheese’s というレストランがある。メニューは子供が大好きなピザ等中心で、ゲームセンターがテーブルエリアに隣接している。子供の誕生日パーティーをする場所としても人気のレストランだ。うちの息子が好きでよく見るインターネット上のビデオチャンネルに以前登場していたから私も行ってみたくて息子とワクワクしながらレンタカーを走らせた。入るとまず入場者の手の甲に透明なインクでスタンプを押される。何のため?と一瞬思ったが、考える間も無く大興奮の息子に手を引っ張られとりあえずカウンターで食べ物を注文して中に入る。
カウンターの横には景品のお菓子やおもちゃが並んでいて息子の目は釘付けだ。何が欲しいか入念にチェックしている模様。チケット枚数と金額が書いてあるので
「あとで交換できるみたいだよ、先に食べて遊ぼうね」
と視線を前方の大きなスクリーンに移すと、キャラクターのチャッキーがあと5分でステージに登場!とある。なんと、チャッキーはオープン時間中30分ごとに現れて歌とダンスのショーをしてくれるらしい。でも平日の昼間でお客さんなんて4組くらいしかいないけど、などといらぬ心配をしている間にカウントダウンが始まり早速チャッキーが登場した。ノリノリの音楽だけどさすがに子供4人、そのうちひとり(息子)は怖がって遠まきに見ているだけ…。かわいそうなチャッキーだ。そんなバイブを反映してかチャッキーの動きはまさに「中は面倒くさがっているおばさん」見え見えな感じ。そしてクライマックス、チャッキーはビニール袋に入っているチケットを花咲じいさんのようにばら撒く。週末ならここで子供たちがうわーっと群がってチケットを拾うのだろう。息子も何がばら撒かれているのか気になり、もしかしてキャンディー?と近づいてきた。チケットとわかり、計4人の子供らとその親が「こんなにあってどうする?」みたいなちょっと困った感じでチケットを拾い出す。
せっかく出てきてくれたのだし記念にと
「チャッキー、写真とってもいい?」
と声をかけるとポーズを取ってくれた。息子は怖がって一緒に写真に入りたがらず。
”Thank you.”
と声をかけた時の反応でチャッキーの中身がおばさんだと確信する。
混雑時なら一瞬で消えるだろう床のチケットだがチャッキーが去ったあとしばらくそのままだった。ちょっと悲しい光景だ。とりあえず残さず拾っておこうと他の親子たちと息子と遠慮がちに拾ってからチケットマシーンに行ってみると、マシーンがチケットを取り込むのが面白くて息子が夢中になってやってくれた。出てきたレシートに44枚とある。そうか、このカウントと相応の景品と交換できるんだな。初めてだから全てが新発見だ。
チケットマシーンの隣に別のマシーンがあって見るとゲームカード販売機だ。これでようやくゲームセンターの体験ができるのね。とりあえずいちばん安い5ドル分のゲームポイントを購入してみた。さぁ、遊ぶぞ!どんなゲームがあるのか歩き回っていくつかやってみる。息子が気に入ったのはハンドルを持って運転するカーレースで、勝つとチケットが10枚くらい出てくる。これを数回やってから遊具エリアで滑り台をしたりいくつかまたゲームをしたりしているうちに疲れたのか息子はもういいと言いだした。来る前に義母から従兄弟を連れて来るとゲームに夢中になってすぐにポイントを使ってしまうと聞いていたが、4歳の息子にはできないゲームも多いのでポイントがまだ余っている。フォトブースで写真を撮って使ってしまうことにした。
ゲームで稼いだチケットを再度チケットマシーンでカウントすると40枚。さっきのと合わせて84枚分のレシートをカウンターに持って行った。1チケットが1セント相当だから84セント相当の景品と交換できるというシステムだ。せいぜいキャンデー数個分で息子が目をつけていたおもちゃには全然足りない。その辺の理解力がまだない4歳児はここでごね始める。現金でも買えるので、ここで孫にねだられて買ってあげるおじいちゃんおばあちゃんなんかもいるだろう。事前に見たインターネットのサイトでどこかのママが “Stay away from the toy counter (おもちゃのカウンターに近寄っちゃダメよ)” と書いていた訳がわかった。なんとか息子を説得して好きなキャンデーと交換して終了した。
出口に近づくとさっき手の甲にスタンプを押してくれた女性が
「手を出して」
とミニライトを持って言う。ライトをあてると数字がキラリと見えた。子供と親の数字が一致しているか確認するためだったんだ。子供の誘拐を避ける策だったのか。何ともアメリカだな、と思った。
良い旅には良い音楽を連れて行きたいですね。☟