天井低い!部屋狭い!空調問題!
家族と日本に移住して来てアパートにすみ始めた時、まず感じた三つの点。国が違えば風土も住む人も違うのだから当たり前なのだけど。アメリカのアパートから引っ越して来た直後だったから尚更違いを感じてしまった。
日本人はアメリカ人に比べて一般的に小柄だから天井が低いのは不思議ではない。アメリカのようにだだっ広い土地があるわけでもないし、カリフォルニア州ほどの面責にアメリカの全人口の半分程が収まるには家そのものやその中にある部屋が小さくなって当然だろう。しかし、閉所恐怖症気味でアメリカの家屋の圧迫感のなさが大好きだった私にとって、この住居環境の変化は少々辛いものがあった。不思議なことにアメリカ人の夫はあまり気にしている感じはなく、逆に築年数が浅くメンテナンスが行き届いている物件に感動すらしている様子だった。
だが三点目の空調については私より先に夫が音をあげた。日本で育っている私は久々とはいえ日本の気候には慣れっこだし日本家屋の特徴もわかっている。つまり、夏は滅茶苦茶蒸し暑く、冬の屋内が底冷えするというのは(長年のアメリカ生活で忘れていたけれど)驚きではなかった。それが初めての夫は見ていて可愛そうでもあり面白くもあった(ごめんね、ハニー、笑)。
アメリカの住居はほぼどこでも、空調が効き過ぎというほど効いている。冬は暑く夏は寒い。だからアパートに帰ると年中半袖で過ごしたし、夏のオフィスなどは逆に寒過ぎて指先がかじかむ程だった。小型ヒーターを足元に使ったが故に電気が落ちてしまい、データを保存していなかったパソコン作業中の同僚に恨まれたくらいだ。そんなだから、アメリカ人は空調慣れしてしまっていて十分な空調がないと文句を言う。”Stuffy”という言葉があって辞書には「息苦しい」などと訳が出ているが、要は空気が流れていないということだ。この言葉をアメリカ人は空調が十分に効いていない屋内などで
“Wow, it’s stuffy in here.”
などとよく使う。 私が小学生の頃、冬の教室にいると空気が悪くなって顔が真っ赤になったものだが、あれは Stuffiy 状態の極みだ。
さて、引っ越して来たのは1月。それまでアメリカのアパートでは当たり前のように半袖で過ごしていた相当の暑がりの夫が、パーカーを羽織るようになった。(私はセーターも靴下も重ね着なんだけど。)そして、
「ここまで寒いとは思わなかった」
ボソッとひとこと。
当初は日本家屋の冷えを甘く見て
「僕が使うオフィスには小さなヒーターで十分」
と電気ストーブを使っていたが、このままでは夏の暑さには到底耐えられまいと読んだ私は家電店のセールに出向いてエアコンを購入したのだった。
夏。私の予想は的中した。冬でも少し暖かい日中は半袖で過ごすほど暑がりの夫は、うだるような暑さになると、「ぐでたま」になってしまった。仕事でアメリカにいる今も
“I don’t miss that humidity at all.(日本の蒸し暑さは恋しくないよ)”
は決まり文句だ。
一軒家を購入してアパートから引っ越した時、
「一部屋に一台エアコンを入れるんだよ」
というと、目を回しながら
「壁に穴でも開けて空気が行き来できるようにできないの?」
と夫。それができれば私も万々歳よ。
夫のことばかり書いたけれど、実は私もアメリカの(特に冬の)空調が恋しい。冬でもTシャツで過ごせる、あれは天国だ。夫いわく、日本家屋は断熱材が十分でないそうだ。最近ではコタツに興味を持って来たようだが、あれを買ってしまうと夫も息子も「万年コタツムリ」になりそうなので今度の冬も却下の予定だ。
いつか買ってと言われそう…。