プランジャーの悪魔

世界中に蔓延するCOVIDー19(新型コロナウィルス)。数ヶ月前には世間では知られていなかったこのウィルスのせいで世界は大きく変わってしまった。そして、3ヶ月近い自粛生活と連日のコロナ報道の影響で気付けば日常会話もコロナネタが中心となり、とにかく何をするにもコロナコロナで生活がこの新型ウィルスに振り回されてしまっている。

だからだろうか、このブログも書こうと思うと「コロナ」という言葉が頭を支配してしまっているようでなかなか新しい投稿ができずにいた(休校中のわんぱく新一年生に生活を支配されていたのもあるけれど、笑)。そこで今日は敢えて別の、もっと明るい話題について書くことにした。うんと明るい…いっそのこと、とことんくだらないネタにしてしまおうかと。

みなさん、トイレのカッポンカッポンはどうやってトイレに置かれているだろうか。そう、話はいきなり「トイレのカッポンカッポン」にとぶ。余談だが、このたび初めてカッポンカッポンの正式名称が「ラバーカップ」であり「すっぽん」などとも呼ばれているのだと知った。(もしくは、もしかしたら大昔は知っていたかもしれないけれど思い出した。)因みに我が家では、日本に引っ越してきてからまだ一度もお世話にならずにすんでいる為、万が一の事態に備えて買ってはあるものの未だに売り場にあったそのままの姿でフィルムに覆われている。そしてトイレの奥の方にそっとたたずんでいる。そのカッポンカッポン、実は私と夫にとって思い出深いアイテムだったりする。

まだ交際相手だった夫とダウンタウン・マンハッタンのアパートに引っ越すことになった頃の話だ。ふたりでホームセンターに生活用品の買い物に出かけた。引っ越し先は不動産のエージェントに突きつけた条件の数々をクリアした、探すのにかなり苦労した物件だ。リノベーションをしたばかりで内装も綺麗だし、生活用品探しにも自然と熱が入った。気分はまるで新婚さんだ。

「あれも買ったし、これも買ったし、あ! プランジャー(ラバーカップ)も買っておいた方がいいよね~。」
ということで、ふたりはトイレ用品売り場へ。プランジャー自体はたくさん種類がある訳でもないし、適当なものを選んですぐにすんだ。そして。
「ねぇ、プランジャーって使ったあと汚いよね。なにかオシャレなカバーとかってないんだろうか。」
ところが、売り場にはプランジャーのカバーは見当たらない。今でこそスマホでちょちょいと検索すればその場で答えが出てくるし、ネットでパパッと注文できるけれど、当時はそんなこともなく、その後40分間に渡ってオーバーヒートしたプランジャーカバー・ハントが繰り広げられた。カバーがないならカバーになるものは?!
「植木鉢はどうだっ!」
とガーデニングセクションへ。うーん、イマイチ…。なかなか気に入ったものがなくて、段々とイライラしてくるふたり。楽しいお買い物のはずがいつの間にか険悪ムードになってしまった。
「これはどう?」
「えー、なんか気に入らない」
「じゃあどんなのがいいっていうんだ?!」
お互いケンカ腰になり疲れもピークに達した頃、ふと立ち止まり顔を見合わせて一瞬の沈黙の後ププ~と吹き出してしまった。
「コレってどういう喧嘩よ?」
全くもって意味のない言い争いに気づき、ふたりがプランジャーの悪魔の呪いから解放された瞬間だった。結局プランジャー様は新居内トイレの、テキトーに敷いたキッチンタオルか何かの上に鎮座されたのであった。

久しぶりに思い出したなぁ。
「ねぇ、一緒に住み始めた頃の買い物で…」
と言いかけると、
「プランジャー?!」
と愉快気に即答する夫。平和な我が家だ。

さてさて、コロナ騒ぎから平和な世の中を取り戻すために「自分にできることから」を実行する人々がたくさんいる。まずはマスクと手洗いを徹底している人々。感染から身を守りながら外で働かなくてはならない、医療関係者をはじめとしたエッセンシャル・ワーカーの方々。寄付をする人もいる。YouTubeなどでポジティブなメッセージを発信したり、ストレスをためがちな隔離生活中に家でできること・楽しい過ごし方を提案する人もいる。家にこもることでDV(家庭内暴力)の被害が増えるであろう問題を提起したり、単身世帯やひとり親へのサポートを呼びかける人もいる。何でもいい、「自分にできることから」している人々。そんな全ての人々に大きな拍手を送りたい。


あの日、こういうのがあったら間違いなく買っていました、笑。☟

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