坊主頭とクロTの日々

出会った頃の夫は大抵のニューヨーク・ヤングアダルトと同じように小ぎれいでカジュアルな服を着ていた。決してオシャレさんではないけれども十分に清潔でベーシック、ファッション業界にいるわけでもないし私としても気になるところは全くなかった。

付き合い出してからもしばらくは同じような服装をしていたのだが、数年後に彼はある決心をする。
「黒いTシャツだけを着る」
という決心だ。理由はシンプル。毎日何を着るかコーディネートしたり何を買うか考えたりする時間と労力がもったいないから。ちょうど仕事から帰ってきた後に物書きをしたりビジネスパートナーと事業の準備にも取り組み始めた頃だったから他の些細な物事に煩わされず焦点を絞りたかったのだと思う。

そして髪の毛も、少し後頭部が薄くなってきたのを気にするのも面倒だから坊主にしちゃう、というのが彼の選択だった。その結果、私たちの結婚式の写真には坊主頭の新郎が写っている。

坊主頭の夫をセクシーに感じるか?という疑問はよそにして、その考え方は天晴!だと思う。実は私も真似したいくらいだ。ただ、いつも同じものを深く考えずに制服のように着ればラクちんだなぁと思う反面、やっぱりたまにはオシャレしたいわという気持ちが湧いてくるのも正直なところである。髪の毛に関しては一生に一度坊主にしてみたいと密かに思うと同時に流石に坊主頭は…と臆病な自分もいて今までに一度もトライしたことがない。ただ、シャンプーのあとドライヤーをかけながら毎日のように
「これがなかったらなぁ、坊主だったらラクだよね」
と感じてしまう。

かのスティーブ・ジョブズ氏もイッセイミヤケの黒いタートルネックを自分の制服として毎日着ていた。彼ほどの人物ともなると特注のものを何十枚、何百枚とまとめて購入していたようだが。

ニューヨークに有名ブランドのデザイナーをしている友人がいた。彼を含め友人達を招いたディナーの際に夫が
「ひとつこれだと決めて毎日着るのに選ぶとしたら?」
と質問をしたところ、デザイナーの彼の答えも
「Vネックの黒いTシャツ」
だった。そしてニューヨークでは特に冬場は黒を着ている人が多い。やっぱりベーシックだし楽と言えば楽だからだろうか。私自身もニューヨークにいた頃は黒のアイテムが圧倒的に多かった。会社には毎日黒しか着てこない人もいた。

ママになって焼津に引っ越してきてからはジーンズにTシャツが私の制服みたいなものだ。子供と公園に行って一緒に滑り台をして擦れても泥んこ遊びをして汚れても気にしなくていい。髪だって大抵ひっつめちゃう。だから明日は何を着ようかとか悩む必要がない。夫ほど極めてはいないけれど、まぁこんなもんかな。あとは今年のクリスマスにサンタさんがダイソンのヘアドライヤーをくれたら髪も早く乾いて万々歳だ。


現在使っているのがこれです。お値段以上のパフォーマンスかと。☺︎☟

Previous
Previous

マッチメーカー

Next
Next

俳句の世界