ママの料理

夕べの息子との会話。
「ママの作る料理でいちばん好きなものってなぁに?」
「シリアル~!」
ママのイッパツKO負け。

昔、テレビでお料理選手権を見ていた時を思い出した。選手権に出場していたママさんの息子くんが応援席に座っていて、料理バトル中に
「お母さんが作るお料理で一番好きなものはなぁに?(ニコニコ)」
とレポーターに質問され、
息子くん「ふりかけごはん!」
レポーター「あっ、そうか~(冷や汗)」
料理バトル中のママも手を動かしながら苦笑...、というシーンがあった。当時まだシングルだった私は面白がって爆笑していたが、今の私にはママさんの気持ちが痛いほどわかるのだ。

うちの息子はとっても偏食で、ほんの少~しだけ緑色が見えるだけで
「はっぱ~」
と食べなくなる。工夫して手間暇かけて
「これなら食べてくれそう!」
と出した料理を見た瞬間に否定された時のやり切れなさ。ママはお料理があんまり上手じゃないけど頑張ったんだよおぉ!そしてハンバーグにすり下ろして入れたニンジンのごくごくわずかなオレンジ色を察知して食べるのを拒否する息子くん、キミのその探知能力、もっと他の事に役立ててもらえましぇんかねぇ(ため息)。

しかし待てよ。お料理上手のママさんの息子くんがふりかけごはんだったら、お世辞にも料理が上手とは言えない私の息子はシリアルが妥当といったところか…。お米すら炊かせてもらえてない私ってばちょっと可哀想だけど。

息子の偏食を心配して最近では青汁や人参ペースト入りのカップケーキなんぞ作っている私だが、実はその私自身が偏食っ子だった。だから息子の偏食は私に由来するところもきっと大きいだろう。あ、なんだ、自分を可哀想がっている場合じゃなくて申し訳なく思うべきだったのか。

それにしても、遺伝って恐ろしい。ある日、お弁当に入れた好きなおかずを残してきたので
「どうしたの?好きなおかず残しちゃって。」
と聞くと、
「だってママ、ブロッコリー入れたでしょ。ブロッコリーが触ってたからニオイがついて食べられなかったの。」
これには驚いた。なぜかというと、私が息子くらいの頃同じような事を言っていたからだ。いや、私の方が手に負えなかった(イバれることではないが)。例えば、テーブルにそれぞれ違う種類のおかずが入ったいくつかのお皿が並んでいるとしよう。そのうちのひとつには日本人の心とも言える漬物が入っている。私は漬物が大っ嫌いで匂いも色も形も、とにかく存在自体が許せなかった。だから、例え好きなおかずでも隣のお皿に漬物が入っていたらなんというか、空気を伝って好きなおかずも汚染されているような気がして手をつけなかった。今思うとすごく困ったちゃんだった私だが、そんな私の息子だったらブロッコリーがピッタリくっついた隣のおかずは食べないという気持ちになっても不思議はない。ママはキミの気持ちが良くわかる。しかし、ママは何の野菜が嫌いとか昔どうだったとかそういう話を一切していなかったのにも関わらずやる事・言う事が同じ、というのには何ともビックリだ。

そんな息子くんも実家の家族に
「スゴイ!」
「カッコいい!」
と持ち上げてもらった甲斐もあり、最近は小指のツメくらいの大きさのブロッコリーを食べる(というより水で飲み込む)までに成長した。
「キミくらいの頃ママはキャベツを食べていたよ~」
とこの頃一生懸命説得しているが、実は「ママが食べられたのはキャベツだけだった」と表現した方が正しい。だから“単一野菜主義”としてようやくママの幼少期と同レベルに至ったという訳だが、何となくブロッコリーの方がハードルが高い気がするので私的には息子の勝ち。まぁ、そのうちだんだん食べるようになるでしょ、と楽観的に思ったりもしている。

あとはママの料理をもう少し食べてくれるようになる事を、そしてママの作る料理でいちばん好きなものとして、せめて炊飯器か包丁を使うものを挙げてくれるようになる事を切に願う今日この頃である。


早くこういうので作った料理を食べておくれよ…。☟

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