楽しい搾乳タイム

最近、私のまわりではちょっとしたベビーブームが起こっている。とはいえ私は高齢出産だったので、同年代の友人が出産しているのではなくてちょっと年下の、私の従姉妹とかママ友さんの妹さんとかが、だ。赤ちゃんには不思議なパワーがあって、見せてもらうともっともっと見ていたくなる。

ホンネを言うと、私ももう1人くらい子供が欲しかった。でも散々シングルライフを満喫した後の結婚・出産だったので、2人目を作るにはちょっと遅すぎたようだ。ギリギリ産めそう?!というタイミングでできたと思った2人目が異所性妊娠(子宮外妊娠)というやつだった。神様が
「もうやめておきなさい」
と言っていたんだと思う。しかし神様はそれ以前に、夫と私のキャラを何とも見事に引き継いだ息子を授けてくれたので感謝の気持ちでいっぱいだ。

さてその息子だが、子供好き家系の流れを継いで大の赤ちゃん好きだ。自分だってついこの間まで赤ちゃんだったのにね(笑)。公園や子育て支援センターで赤ちゃんやヨチヨチ歩きの子を見るといつも寄って行って頭をなでなでしたがる。赤ちゃん(弟か妹)が欲しくて
「ママ~、おせちりょうりにはいってるカズノコをたべるとあかちゃんがいっぱいできるだって。(ちょっと焼津弁。)ママたべたらいいとおもうよ。」
と、幼稚園で読んだ本の事を話してくれた。ごめんね、キミがお嫁さんを貰うまで赤ちゃんはお預けだね。

赤ちゃんが好きなばかりにいきなりタイトルからかけ離れた話で始まってしまったが、つい先日、妹さんが赤ちゃんを産んだばかりのママ友さんと話しをしていて、母乳があまり出ないという話題になった。あまりこの話題に親しみのない読者の方に説明すると、母親というものはできれば我が子を粉ミルクより母乳で育ててあげたいと思うものなのだ。母乳は栄養たっぷりでその上お金だってかからない。

なーんて言っておきながら、実は私も母乳があまり出なかった。以前、搾乳機を持って通勤していた話をしたが、勤務中に1日2回、
「行って参ります!」
と先輩社員に声をかけて勢いよく搾乳室のブースに入って行くも、調子のいい回でとれるのが150mlボトルの3分の2程度だった。経験者の方はお分かりになると思うが、この量はハングリーな赤ちゃんからしてみると
「おいおい母ちゃん、しっかりしてくれよ」
という感じの量だ。その少量の母乳が入ったボトルをベビーシッターさんに託しても結局粉ミルクが必要になるので、彼女に預かってもらう昼間は完全に粉ミルクオンリーの状態だった。息子が8ヶ月の頃にはもう「それって搾乳する意味があるのかい?」というくらいの量に減ってしまったので、未練なくキッパリと母乳はやめてしまった。

私が搾乳室への出入りをしなくなってからも母乳の出る同僚たちの搾乳は続いた。ある同僚は
「冷凍しているけれどストックが減らない!」
と供給が需要より多いことをこぼしていた。私がまだ搾乳をしていた頃は彼女と同時に隣同士のブースに入って同じ時間搾乳して出てくると彼女の手には満タンのボトルが2本、時には更に半分くらいもあったものだ。その度に私はものすごーい敗北感を味わっていたのだった。また別のママさん社員は、
「うちの子、もうすぐ2歳なのにまだ母乳なんです…」
とこれまたこぼしていた。彼女は子供に2歳の誕生日前から
「ママのおっぱいは2歳でおしまいだよ」
と予告しておいて、欲しがる子供の泣き声とパンパンに張った胸の痛みに耐えながらバンドエイドを乳首に貼っていたという。あまりに凄まじい断乳話に、せっかく需要も供給もあるのにそれはそれで辛そうだなぁと話を聞いていた私だった。

そんなこんなで息子が1歳になる頃の一時帰国の際にはいつも使っている粉ミルクをアメリカから持参した。その帰国時に母親から
「あんた母乳出なかったの?私と一緒だねぇ。あんたが赤ん坊の時は殆ど粉ミルクだっけよぉ。(焼津弁)」
とあっさり言われて
「あれ、そうだったの?」
何だか気持ちが随分楽になったのだった。母乳が素晴らしいという事は事実だけれど、母乳派ばかりをもてはやす風潮がある昨今、母乳が出ない新米ママが肩身の狭い思いをする事もあるんじゃないかな。今の粉ミルクは質が高いし、母乳が出なくてもぜーんぜん気にすることはない!自分が粉ミルクで育ったと知った今、そして半分以上粉ミルクだった息子も元気な5歳児に育った今、声を大にして言いたい。

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